VPNの速度改善やネット回線の最適化でよく出てくる用語が MTU(最大転送単位 / Maximum Transmission Unit) です。
しかし、専門用語のように見えて「結局なに?」と感じてしまう人も多いはず。
この記事では、
初心者でも一発で理解できるように、MTUの意味・仕組み・通信への影響・VPNとの関係 まで丁寧に解説します。
✔ MTUとは?(Maximum Transmission Unit)
MTU = ネットワークが1回で送れるデータの最大サイズ
もっと簡単にいうと、
「1回の運搬で送れる荷物の大きさ」
だと思ってください。
▼ イメージ例
- MTUが大きい → 大きな荷物を一度に送れる
- MTUが小さい → 小さな荷物を何回も送る必要がある
ただし、大きすぎると通れない道路(ネットワーク)があり、荷物を分割しないといけません。
✔ MTUが通信に与える影響
MTUはインターネット通信のパフォーマンスに大きな影響を与えます。
① 大きすぎるMTU → パケットの断片化がおこる
ネットワークの途中に「自分より小さいMTUのルーター」があると、そこで パケット分割(Fragmentation) が発生します。
パケット分割が起きると…
- 再送が発生しやすい
- 遅延が大きくなる
- VPN接続が不安定になる
- 特定のサイトだけ読み込めなくなる
多くの「VPNが遅い」「一部サイトが開かない」の原因はこれです。
② 小さすぎるMTU → 無駄な通信が増える
MTUを小さくしすぎると、データを細かく分けすぎてしまい、
- 通信効率が悪くなる
- 速度がやや低下する
最適なMTUは、その中間にあります。
✔ MTUの標準値はいくつ?
| 回線の種類 | MTU |
|---|---|
| 光回線(IPv4 PPPoE) | 1454–1492 |
| IPv6 IPoE | 1500 |
| スマホ(4G/5G) | 1500前後 |
| VPN利用時(WireGuardなど) | 1280~1450 |
| OpenVPN(UDP) | 1300〜1500 |
VPNプロトコルによって暗号化オーバーヘッドが異なるため、VPN利用時は通常よりMTUが小さくなることがあります。
✔ MTUとVPNの関係(重要ポイント)
VPNを使うと 暗号化用のヘッダーが追加 されます。
その結果…
- 実際に送れるデータ量が減る
- MTUが実質的に小さくなる
- 分割されやすくなり速度が落ちる
- 一部のページが読み込めないことも
という現象が起こりやすくなります。
▼ VPNでよく起きるMTUが原因のトラブル
- VPN接続中だけ特定サイトが開かない
- 動画が止まる
- ファイルアップロードが失敗する
- ゲームのPingが高い
- ページが途中で止まる
- 「ERR_CONNECTION_RESET」などが出る
これらは MTU不一致の典型的な症状 です。
✔ MTUの最適化で得られるメリット
- VPN通信が安定する
- サイトの読み込み失敗が減る
- ゲームの遅延が改善
- 動画の止まりが減る
- 大容量ファイルがスムーズに送れる
- リモートワーク(Zoom/Teams)が安定
特に VPN速度の改善目的では効果が出やすい 項目の1つです。
✔ MTUを調整すべき人(チェックリスト)
- VPNだけ極端に遅い
- 特定サイトだけ開かない
- 通信が途中で止まる
- 動画やDLが不安定
- オンラインゲーム中に頻繁にラグが起こる
- 中国・UAEなど規制国でVPNを使っている
- OpenVPNで不安定になりやすい
これらが当てはまるなら、MTU調整は効果が高い 可能性が大きいです。
✔ MTU調整の方法(簡易版)
詳細記事への内部リンクを想定したまとめです。
① 現在のMTUを確認する(Windows)
netsh interface ipv4 show subinterfaces
② 最適MTUを調べる
ping google.com -f -l 1472
成功する最大の値 + 28 がMTU。
③ MTUを変更する
netsh interface ipv4 set subinterface "Wi-Fi" mtu=1460 store=persistent
まとめ:MTUとは「通信のスピードと安定性を左右する重要な値」
MTUはただの専門用語ではなく、
VPN速度・ネットの安定性・ゲームの快適さ を左右する重要なパラメータです。
- 大きすぎてもダメ
- 小さすぎてもダメ
- ちょうど良い値を見つけるのが最重要
特にVPN利用時にはMTUが原因で問題が起きることが多いため、
ネットが遅いなら 「MTUを見直す価値はかなり高い」 です。

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