VPN（Virtual Private Network：仮想専用線）は、
インターネット上で安全な「トンネル」を作る技術 です。
しかし一口に「VPN」と言っても、
・個人向けVPN
・企業向けVPN
・通信方式（プロトコル）
など、いくつもの種類が存在します。
この記事では、インターネットVPNの種類をすべて体系的に整理 し、初心者にも分かりやすく解説します。
1. VPNの分類方法は大きく3つ
VPNは主に次の3つの軸で分類できます。
- 接続目的（個人向け / 企業向け）
- ネットワーク構造（インターネットVPN / IP-VPN / 広域Ethernet）
- 通信プロトコル（OpenVPN / WireGuard など）
この記事では主に インターネットVPN（個人・企業向け）で使われる種類 にフォーカスします。
2. インターネットVPNの種類（方式別）
インターネットVPNには以下の大きな種類があります。
① リモートアクセスVPN（個人&企業で利用）
自宅や外出先の端末から、
会社や自宅ネットワークへ安全にアクセスする方式。
用途：
- テレワーク（社内LANに接続）
- 自宅NAS/サーバーにアクセス
- 公衆Wi-Fiの安全確保
- 海外から日本の動画視聴（個人向けVPN）
主な技術：
- OpenVPN
- L2TP/IPsec
- IKEv2/IPsec
- WireGuard
- SSTP
もっとも一般的で、個人が使う「VPNサービス」はほぼこれ。
② 拠点間VPN（企業で利用）
2つ以上の拠点（本社・支社・倉庫など）を
インターネット経由で安全に接続する方式。
用途：
- 本社と支社をつなぐ
- 海外支社と日本本社のネットワーク構築
- 店舗とサーバーを接続
方式：
- IPsec トンネル VPN
- IKEv2
- 拠点用VPNルーター（YAMAHA, Cisco, Fortinet など）
特徴：
安価に広域ネットワークを構築できる。
③ クラウドVPN（ゼロトラスト向け）
近年普及している企業向けVPN。
特徴：
- クラウドにユーザー認証や制御を集約
- アプリをインストールするだけで接続
- ゼロトラスト（常時検証型セキュリティ）に対応
代表的なサービス：
- Cisco Meraki
- Zscaler
- Google BeyondCorp
- Cloudflare Zero Trust
ローカルNWではなく、
クラウドアプリへの安全アクセスが主な目的。
④ 商用VPNサービス（個人向け）
個人が海外動画の視聴やプライバシー保護に使うVPN。
特徴：
- 世界各国にサーバーあり
- ワンクリックで接続できる
- 通信を暗号化して匿名性を確保
- IPアドレスを変更可能
代表サービス：
- NordVPN
- Surfshark
- ExpressVPN
- CyberGhost
- Private Internet Access
用途：
- 海外から日本のNetflixを見る
- 公衆Wi-Fiを安全に使う
- P2PやTorrentを匿名化
- 匿名ブラウジング
3. VPNプロトコル（通信方式）の種類
インターネットVPNでは、次の通信方式（暗号化技術）が使われます。
① OpenVPN（もっとも一般的）
- オープンソースで信頼性が高い
- 暗号化が強固
- どのOSでも利用可能
- 安定性が高い（ただしやや遅め）
個人VPNでも企業でも広く利用。
② WireGuard（最新で高速）
- 圧倒的に高速
- 設定がシンプル
- モバイル向けに強い
- 近年主流になりつつある
NordVPN「NordLynx」、Surfshark「WireGuard」など、
大手サービスでも主力プロトコルに。
③ IKEv2/IPsec
- モバイル回線で安定
- 切断されてもすぐ再接続
- 公共Wi-Fiで良好な接続性
スマホ利用者に人気。
④ L2TP/IPsec
- 安定性は高いが速度は遅い
- 近年は非推奨ぎみ（古い）
⑤ SSTP（Windows特化）
- Microsoft製
- Windowsで高い相性
- 通信をHTTPSで通せるためブロックされにくい
4. VPNの種類による違いまとめ（一覧表）
| 種類 | 主な用途 | 特徴 | ユーザー |
|---|---|---|---|
| リモートアクセスVPN | 個人/企業 | テレワーク、自宅アクセス | 個人・企業全般 |
| 拠点間VPN | 企業 | 拠点と拠点を接続 | 企業向け |
| クラウドVPN | 企業 | ゼロトラスト、クラウド前提 | 中〜大規模企業 |
| 商用VPNサービス | 個人向け | 匿名化、IP変更 | 個人（動画・P2P） |
| VPNプロトコル | 通信方式 | 速度・安全性に差 | VPN内部技術 |
5. 個人向けVPNを選ぶポイント
個人利用なら以下が重要です。
- WireGuard対応 → 高速
- ノーログポリシー → 匿名性
- 日本サーバーの速度
- P2P可否（必要なら必須）
- 同時接続数
おすすめ：
- NordVPN（速度・安全性最強）
- Surfshark（コスパ最強）
- ExpressVPN（多国対応）
6. 企業がインターネットVPNを選ぶポイント
企業向けでは以下が重要です。
- IPsec対応の専用ルーター
- 可用性（冗長構成の有無）
- 社員数に合わせた認証管理
- クラウドサービスとの接続性能
- セキュリティログの取得
小規模：リモートVPN＋VPNルーター
中規模以上：クラウドVPN＋ゼロトラスト
まとめ：インターネットVPNは用途で種類が大きく変わる
VPNは目的に応じて選ぶべき種類が大きく変わります。
- 個人 → 商用VPN（NordVPNなど）
- 企業 → リモートアクセスVPN or 拠点間VPN
- 大規模企業 → クラウドVPN・ゼロトラスト
- 内部技術 → WireGuard・OpenVPN など各種プロトコル
用途に合ったVPNを選ぶことで、
セキュリティ・速度・安定性が大きく向上します。
コメント