VPNの速度が遅い場合、アプリ側の設定だけでなく インターネット回線そのもの がボトルネックになっているケースは非常に多くあります。
本記事では、VPN速度が回線の見直しでどれほど改善できるか、そして具体的なチェックポイントを解説します。
■ なぜインターネット接続がVPN速度に影響するのか?
VPNは通信を暗号化し、専用サーバーを経由してインターネットに接続する仕組みです。
つまり、
通常のインターネット通信より“余分な処理”が発生する
ため、もともとの回線が遅いとVPN接続時にさらに遅くなります。
特に影響する要素はこちら:
- 元々のインターネット速度
- 回線の混雑状況
- 使用中のルーターの性能
- Wi-Fi 電波の品質
- プロバイダの品質
インターネット接続はVPN速度の土台。
土台が弱ければVPN速度は伸びません。
■ インターネット回線の見直しが重要な理由
1. 回線速度が遅いとVPN速度も比例して遅くなる
VPN利用時、暗号化とサーバー経由という追加処理が発生します。
例えば元の回線が
- 30Mbps → VPNで10〜15Mbpsに低下
- 5Mbps → VPNで1Mbps以下まで低下
このように元の回線が遅いほどVPN時の影響が大きくなります。
2. 混雑する時間帯はVPNの速度が大幅に落ちる
夜間や休日など、地域のネット使用量が多い時間帯は
- プロバイダの帯域制限
- 近所の利用者増加
などの理由で速度が低下します。
これがそのままVPN速度の低下につながります。
3. ルーターの性能不足がVPN速度を下げる
古いルーターは
- 暗号化の処理が追いつかない
- 無線規格(2.4GHzのみ)が遅い
という問題があり、VPN通信で顕著に遅さが出ます。
特に注意したいのは以下:
| 状態 | VPN速度への影響 |
|---|---|
| 5年以上前のルーター使用 | 大幅に低下する |
| Wi-Fi 2.4GHzのみ | 遅い/不安定 |
| 安価ルーター | VPN処理が弱い |
4. Wi-Fi の電波が弱いとVPNの安定性も悪化する
Wi-Fiの電波状態が悪いと
- パケットロス(通信の欠損)
- 再送処理の増加
が発生するため、VPN速度はさらに低下します。
VPNの遅さの原因がそもそもWi-Fiの弱さ
というケースは非常に多いです。
■ VPN速度改善のための「インターネット接続見直しチェックリスト」
① 回線速度をチェック
まずは元の速度を測定します。
VPNオフで以下を確認:
- 下り速度(Download)
- 上り速度(Upload)
- Ping(遅延)
目安:
| 用途 | 必要速度 |
|---|---|
| 動画視聴(HD) | 20Mbps以上 |
| オンライン会議 | 10Mbps以上 |
| オンラインゲーム | Ping 30ms以下 |
② 有線接続を試してみる
Wi-Fi → 有線LANに変えるだけで速度が大幅改善することがあります。
特にPCでは効果が大きいです。
③ ルーターの買い替え
次の機能を満たすルーターはVPNとの相性が良いです:
- Wi-Fi6(11ax)対応
- 5GHz帯が使える
- CPUが高性能(2コア以上)
- ビームフォーミング対応
ルーターが古いとVPN速度の改善はほぼ不可能です。
④ 使用するプロバイダを見直す
速度が常に遅い場合、プロバイダの変更が最も効果的です。
特に
- NTT系の混雑プロバイダ
- 格安プロバイダ
は速度低下が起きやすいです。
⑤ 家の中のWi-Fi環境を改善
- ルーターを高い位置に置く
- 壁・床を避ける
- 中継機を置く
- メッシュWi-Fi導入
これらで電波品質が改善し、VPN速度も向上します。
■ VPNプロトコルと回線の相性も重要
インターネット回線の品質が悪いほど、軽量プロトコルが有利です。
| プロトコル | 特徴 |
|---|---|
| WireGuard | 軽量で高速、回線品質が悪くても維持しやすい |
| IKEv2 | モバイルとの相性が良い、安定性高い |
| OpenVPN(UDP) | 汎用性高いが重い |
| OpenVPN(TCP) | 安定性高いが速度はかなり遅い |
回線が弱い場合は WireGuard か IKEv2 が最適。
■ インターネット接続を改善するとVPN速度はどれくらい上がるのか?
改善効果の一例:
| 改善内容 | 速度向上の例 |
|---|---|
| Wi-Fi → 有線LAN | 2〜5倍 |
| ルーター買い替え | 2〜3倍 |
| プロバイダ変更 | 3〜10倍 |
| 回線の乗り換え(ADSL→光) | 5〜20倍以上 |
VPNの速度が劇的に改善するケースも珍しくありません。
■ まとめ:VPNが遅い時は「回線が原因」の可能性が高い!
VPNの速度改善では、設定よりも
インターネット接続の見直しが最大の効果を生むことが多いです。
改善ポイントをまとめると:
- 元の回線速度が遅いとVPNも必ず遅くなる
- 混雑するプロバイダはVPN利用時に特に遅くなる
- 古いルーターはVPN処理に向かない
- Wi-Fiの品質はVPN速度に直結する
- 有線にすると大幅改善することも多い
VPNを高速で使いたい場合、
回線・ルーター・Wi-Fi環境の見直しが最優先です。

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