VPNの速度が遅いとき、原因の1つとして「MTU値(最大転送単位)」が適切でないことがあります。
MTUを適切に調整することで、通信の断片化を減らし、VPN速度の改善につながる場合があります。
この記事では、初心者でもできるよう MTU値の確認・最適値の計測・設定方法 をわかりやすく解説します。
✔ MTU(最大転送単位)とは?
MTU(Maximum Transmission Unit)は、ネットワークが一度に送信できる「データサイズの最大値」のこと。
- MTUが大きすぎ → パケット分割が起きて遅くなる
- MTUが小さすぎ → 無駄が増えて遅くなる
最適なMTUを見つけることが、VPN速度改善に効果的です。
【STEP1】現在のMTU値を確認する方法
Windowsの場合
- 検索バーに「cmd」と入力し、コマンドプロンプトを開く
- 次のコマンドを入力
netsh interface ipv4 show subinterfaces
- 使用中のネットワーク(Wi-Fi など)の MTU値 が表示されます。
Macの場合
- ターミナルを開く
- 次のコマンドを入力
networksetup -getMTU Wi-Fi
- 現在のMTU値が表示されます。
【STEP2】最適なMTU値を測定する方法(Windows)
Windowsでは ping を使って最適MTUを試算できます。
① コマンドプロンプトを開く
検索 →「cmd」
② 以下のコマンドでテスト開始
ping google.com -f -l 1472
-f→ 分割禁止(Fragmentation禁止)-l→ データサイズ指定
③ 結果の読み方
- 「パケットは分割できません」というエラー → 数字を小さくする
- 正常に応答した → その値がOK
例:値を100ずつ、小さくして探す
ping google.com -f -l 1460
ping google.com -f -l 1450
ping google.com -f -l 1440
④ 最終的に、エラーが出ずに成功する最大の値を探す
MTU = その値 + 28
(28 は IP + ICMP のヘッダーサイズ)
【STEP3】MTU値を設定する方法
▼ Windowsで設定する方法
- 管理者権限でコマンドプロンプトを開く
- 以下のコマンドを入力
netsh interface ipv4 set subinterface "Wi-Fi" mtu=1460 store=persistent
"Wi-Fi"→ インターフェース名(上で確認可能)1460→ 設定したいMTU値
設定後に確認するコマンド
netsh interface ipv4 show subinterfaces
▼ Macで設定する方法
- ターミナルを開く
- 以下のコマンドを入力
networksetup -setMTU Wi-Fi 1460
(削除したい場合)
networksetup -setMTU Wi-Fi automatic
【STEP4】VPN側でMTUを調整する方法(サービス別)
NordVPN
- MTUを手動設定する機能はなし
- プロトコル変更(WireGuard → NordLynx)で実質改善することが多い
Surfshark
- Windowsアプリ内で 「Bypasser」オン → 特定アプリだけ保護」 により安定
- MTU直接設定は不可
- プロトコル変更(WireGuardが最も安定)
ExpressVPN
- MTU直接設定は不可
- Lightway は低オーバーヘッドでMTU問題が起きにくい
【STEP5】MTU調整後に確認すべきポイント
✓ 速度テスト(Speedtest)
- MTU変更前と比べて改善しているか確認
✓ VPNサーバー変更
- 近い国に接続すると効果が出やすい
✓ ルーターの再起動
- MTU設定はルーター側の影響も受けるため必須
【まとめ:MTU調整はVPN速度改善に効果的な場合がある】
- MTU調整は「遅いVPN」を改善する1つの重要手法
- 分割されない最大値を見つけて設定することで通信が安定
- ただし 効果が出るかは環境によるため、試す価値あり
最も安定しやすいMTUは「1450前後」ですが、必ずあなたの環境でテストしてください。

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